おすシローの日記

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東京クロノス【ネタバレあり】クロノス世界についての考察

「東京クロノス」全編クリアしました。さわやかな読後感でとても良い気分です。
がっつりネタバレありの考察を書いていきます。
主に作中の疑問点とそれに対する自分の考えを綴っていきたいと思います。
※この先はストーリーのネタバレを含みますので未プレイの方はブラウザバック推奨です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これを読んでいるということはプレイ済みの方ということですね。
まず、『東京クロノス』はほぼほぼ本編で丁寧に伏線回収してくれているため、モヤモヤを抱えることなくすっきりとエンディングを迎えることができました。
「クロノス世界」においていくつか作中の説明では腑に落ちない部分がありましたので考察していきます。
長いので↓の目次から気になるところだけでも見ていってください。

 

はじめに:クロノス世界について

まず初めに、クロノス世界についておさらいしておきたいと思います。

  • クロノス世界は人の爆発的な感情に反応して量子が作り出した世界。
  • クロノス世界から出るためには設定された条件を満たさなければならない。
  • 条件をクリアするのに最低限必要なものはそろっている。
  • クリアの障害となるものは排除される。(部分的な記憶喪失もその一つ)

作中で明記されているのはこのくらいでしょうか。(抜けてたらすみません。)
過去にもクロノス世界によって引き起こされた事件があったようですが、いずれも特定の人物が死亡することによって条件が満たされていたようです。
ビルに映し出された「私は殺された。犯人は誰?」の文字を見て、響介たちはこの中にいる「私」を殺した犯人を見つけ出して殺さなければ脱出できないのだと認識します。

そんなこんなで閉じ込められたクロノス世界。今回はこのクロノス世界について深く掘り下げていこうと思います

1.この『クロノス世界』は誰が作り出した物なのか

■脱出の条件

このクロノス世界を脱出するための条件は作中でも言われている通り『誰かを殺した犯人を特定すること』。

ゲームをクリアした皆さんなら理解していると思いますが脱出の条件は、
『二階堂華怜を殺した(助けなかった)犯人を特定すること。そしてそれは幼馴染全員。』です。

そもそも事の発端は、響介の妹の凛の事故死。精神的な支えの妹が突然亡くなってしまった事実に、響介は生きる意味を失くし、家に引きこもってしまいます。
そんな廃人寸前の響介の下に「二階堂が凛を事故に合わせたのではないか」との噂が届きました。そんなはずはないと思いながらも、二階堂に聞くと、「噂は本当」と肯定されてしまいます。二階堂は人殺し扱いされてイジメられ、その様子を響介はただ見つめています。
誰からも助けられることはなく、ずっとイジメを受け入れていた二階堂もいつしか耐えられなくなり、屋上から飛び降りました。

実際は、凛の事故死のショックで不登校になった響介に生きる気力を取り戻させようと、二階堂が悪役になった事が原因です。響介に生きる気力を取り戻させるという目的は果たしたものの、自身が耐えられなくなって自殺してしまいました。
自殺する前に誰かに頼ることができればよかったのでしょうが……。悪役に徹する為、幼馴染達の助けも振り払ってしまっていたので、悲しいですが当然の結果といえるでしょう。
それでも、「無理やりにでも止めていれば……二階堂は死なずに済んだのに」と後悔する幼馴染たちは相当優しいんだなと思います。

過去の出来事をすべて思い出した幼馴染たちは、自分が二階堂を見殺しにしたと気づきます。みんな消える間際に二階堂へ謝罪していますね。

■クロノス世界は奇跡を起こす世界

現実世界では既に二階堂華怜は死亡しています。しかしながらクロノス世界においてまだ二階堂が存在しているのはここが『奇跡を起こすための世界』だからだと思われます。

クロノス世界は人間の感情によって発生する。というのがユリアの見解です。つまり、二階堂の蘇りを強く望んだ人物がいるということです。それは誰か。

私の考察では候補が2つあるのですが決定的な根拠がなく悩んでいます。
以下、候補とその理由です。

■候補①:櫻井凛

最初から事故の時の真相を知っていた凛は、無実の二階堂が自殺する展開は望んでいなかったはずです。むしろ幼馴染同士で支えて乗り越えてほしかったでしょうに……。凛が、二階堂の自殺を止めたいと思うのは当然でしょう。

さらに凛は夕の体を借り、響介たちが正しい道に進めるように近くで見守っていました。響介が憎しみにのまれそうになった時も、踏みとどまらせたのは凛でした。

つまり、登場人物の中で唯一、ミッションのクリア条件を知っていた人物であると考えられます。当事者である二階堂でさえも、自分が殺されることがクリア条件だと勘違いしていたことから、幼馴染達は誰も条件を知らされていなかったと思います。

まさに、このクロノス世界の主とでもいいますか、すべては彼女の手のひらの上だったように感じました。

以上が、櫻井凛がクロノス世界を発生させたのではないか、という根拠です。
しかし不可解なのは、凛は二階堂よりずっと前に死亡しているということ。
この作品における死者が、現実世界にどこまで影響を与えられるのかはわかりません。凛が死亡した後、『響介のことが心残りで、空から見守っていた。』もしくは、二階堂のリボンに残留思念が宿っていて、リボンと一緒にクロノス世界に潜り込んだというのもアリかもしれません。

もし、そのようなオカルト設定が存在しない場合(クロノス世界の存在がすでに非現実的ではありますが……)が下の仮説です。

■候補②:櫻井響介

私の2つ目の仮説が『櫻井響介がクロノス世界を発生させた』です。

ゲーム開始時、響介が血まみれの自分の手で顔を覆うシーンがあり、その後屋上から黒い影が飛び降りるシーンが映ります。ロウが足場から落ちるフリをしたり、夕が屋上から落ちる瞬間に、響介の脳裏に『黒い影が屋上から飛び降りるシーン』がフラッシュバックします。
この黒い影は間違いなく二階堂華怜です。二階堂が飛び降りる瞬間を響介が見ていたことになります。

二階堂がイジメられる現場を見て、自己の怒りを発散させていた響介が、二階堂が飛び降りる瞬間に立ち会うのは何らおかしくないように思います。むしろ、その瞬間を心待ちにしていたのではないでしょうか。二階堂が死んでしまえば、凛を失った悲しみも怒りも綺麗サッパリなくなるだろうと思っていたのです。
ですが、そこに残ったのは後悔だけ。殺したいほど憎んでいたにも関わらず、それでも後悔していたのは、やはり響介も心のどこかで二階堂を信じたい気持ちがあったからでしょうか。

まあそんなこんなで、屋上から飛び降りる瞬間を目の当たりにした響介が、感情を爆発させてクロノス世界が出てきたというのが2つ目の仮説です。

さて、この仮説では死者の残留思念が存在しない場合の話なのですが、そこで疑問になるのが『クロノス世界の凛はなぜ存在してるのか』です。

私の考えでは、『響介たち皆の記憶から作り出された幻』が凛であるという説を推します。クロノス世界は、ミッションクリアには全員の記憶を操作するだけでは足りないと考え、みんなの記憶の中にある櫻井凛の記憶を読み取って導き手として作り上げました。つまり、クロノス世界の凛と現実世界の凛は別人であるという考えです。

まあ作中では凛はしっかり独立したキャラクターで描かれていたのも考えると2つ目の説はなさそうですが、個人的な趣味でこんな展開だったらいいなという妄想です。

2.小ネタ:ロード中に映るアイテム

■各キャラクターの持ち込んだ物?

皆さんお気づきの小ネタだと思いますがロード中の真ん中に出てくる小物は各キャラの持ち物を表しています。

それぞれのキャラに当てはめるとこんな感じ

  • 桃野夕…カメラ、髪飾り、
  • 東国ユリア…パティ、白衣のワッペン
  • 二階堂華怜…リボン
  • 街小路颯太…スニーカー
  • 両角愛…眼鏡
  • 蔭山哲…手帳
  • 神谷才…校章

夕のカメラやユリアのパティなど、クロノス世界に持ち込んだ物が映し出されるのではないでしょうか。スニーカーやメガネなどはわざわざ持ち込むものなのか?という疑問点はありますが、持ち込める物の基準は分かりません。

これ以外に映し出されているアイテムがあるのですが、それが「鏡の破片」
これらのアイテムは「○○と彼女」のEDで流れるムービーに各キャラのパーソナルカラーに色付けされて登場するので、どれが誰のものか分かります。

しかし鏡の破片はこの中には出てこず、謎のままです。

■鏡の破片が表しているもの

ロード中に映る小物がキャラクターのうちの誰かを表すのならば、鏡の破片はいったい誰なのでしょうか。
ちなみに上記以外のキャラクターでは、響介、ロウ、凛がクロノス世界に存在しています。

個人的な考えでは、凛のことを表した物ではないかと思います。
2週目の冒頭、ロウの視点になった時に、渋谷に舞い落ちる淡い光を目撃します。この光こそが凛だったのではないでしょうか。

凛は、桃野夕の体を借りて響介たちと過ごし、ミッションクリアを手助けしていました。そのことを凛が明かした時に、「最初から」一緒にいたと言っていました。

果たして本当にそうでしょうか。個人的には、1週目は桃野はそのままで、2週目からは凛が体を借りていたのではないかと考えています。

というのも、1週目で話してた夕の過去話や幼馴染同士の思い出も2週目で忘れていたり、記憶を取り戻した後の反応が全く違ったりと違和感を覚えるシーンが多いと感じました。
それとメタ的な意見ですが、1週目と2週目のセリフが違う場面は、いつも夕がいる気がします。(2週目はスキップしながらプレイした勢です……。すみません……。)

正直、一番の理由としては、夕ルートのバッドエンドがめちゃくちゃ好きだからです。自首して監禁された響介を死にそうなギリギリまで放置してから助け出す瞬間の夕にはぞくぞくしました。あのエンドでは、夕以外の皆が相討ちし合ったと説明がありましたが、本当にそうだったのか怪しいところです……。

監視カメラを仕掛けるほどの執着ぶりを見るに、響介と二人っきりになるために、生き残った人物は夕の手でとどめを刺した可能性があるなって……。あの狂気は凛の演技では出せないと思います。

話が逸れました。1週目のエンドでは響介が記憶を取り戻した後、憎しみの感情のままに二階堂を刺して殺害してしまいます。おそらくここで『クロノス世界』が、「このままでは条件達成は困難」と判断して、最後説得するためにとして櫻井凛を遣わせたのではないでしょうか。

そして櫻井凛は先述した通り、クロノス世界の主であると考えています。クロノス世界は鏡で覆われた世界……。
ロウが見た光は、『鏡の破片(=櫻井凛)』だった、というのが私の推察です。
また、もう一つ『鏡の破片=プレイヤー』という説もアリだと思ってますがその話は後程……。

 

3.クロノス世界における「プレイヤー」

■ただの傍観者ではない

3つ目の気になる点は、時々向けられる我々「プレイヤー」への視線。

それは蔭山哲がクロノス世界から解放された時のことです。
このとき、プレイヤーは蔭山と視点を共有していました。蔭山がすべての記憶を取り戻し、体が砕けてバラバラになった後、蔭山の破片に近づく黒い影が…。
破片の中から蔭山の手帳を拾い上げてそのまま立ち去るかと思ったら、こちらを見つめて近づいてきます。蔭山の体は消滅して宙ぶらりんの私の視点。なのにずっと見つめてちょっとずつ近づいてきて最後は顔を覗き込んできて…。最後気づいたときには影が消えていました。

影に見つめられた瞬間、ドキッとしました。しかも近づいてくるのに逃げ場がない。やばい。ほんと怖い。自分はVRホラゲーは絶対できないなと思った瞬間でした。
あと、この謎の影の正体は、クロノス世界の主として暗躍していた凛だと思います。ここで、凛がプレイヤーの存在を認知したのだと思います。

この場面で、プレイヤーはただの画面外の傍観者ではなく、クロノス世界に存在している『何か』であるとわかります。安全なところからゲームを見ていたのに、「お前も無関係じゃないぞ」と言われたような気がしてかなり動揺してました。
自分もこのクロノス世界に閉じ込められた一人なのだと意識し始めてからはもう加速度的にゲームにのめりこんでいきましたね。

それと最後、響介たちが凛(響介の妹)と再開したときにも、こちらを見つめ「あなたも、みんなを見守ってくれてありがとう」と言われます。ここも少しドキッとしました。今度は良い意味で。

■プレイヤーの正体

2週目からは響介以外のキャラクターの視点を通して物語を見ることができます。
このギミックは感動しました。下を見るとそのキャラの体が見えるのですが、響介の体の時は何の変哲もないただの制服でしたが、ロウの視点だとチェーンが見えたり東国の視点では白衣を着ているのがわかります。両角は…凄かったです。何がとは言いませんが凄かったです。VR素晴らしい…。

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両角愛(公式サイトより)



冗談は置いといて、プレイヤーの視点が切り替わるとき、そのキャラクターの姿が鏡に映し出される演出があります。この鏡、というか鏡の破片?…なんか見覚えがありますね…

ということでここで先ほど出てきました、
ガラス(ではなく鏡)の破片=プレイヤー』説です。
1週目の最後、響介が二階堂を刺した後にクロノス世界が崩れていきます。つまりはクロノス世界の脱出に失敗したのです。そして時間は巻き戻り、物語序盤へ。

そこでクロノス世界は凛を遣わせたと共に、さらにもう一つ変化を与えます。プレイヤーが響介以外の人物の中に入り、1週目で得られなかったみんなの思い出を見ることができるようにしたです。
その変化のカギが鏡の破片です。(1週目の時点で崩れ落ちた鏡の壁の欠片なのかなーと思ったり……。)これにより物語が少しずつ変わっていきます。

そしてクロノス世界の思惑通りに正しいルートに進んだストーリー終盤、二階堂が凛を殺すような人間ではないということを、みんなの記憶が証明してくれます。そのおかげで響介も二階堂を信じることができ、晴れてクロノス世界の脱出することができたのです。

これらの思い出を手に入れたのは、東国が犯人捜索を諦めた世界線、蔭山が勇気を出せなかった世界線……等々。いずれも正規ルートではなく一歩踏み間違えた世界の記憶です。
これらの記憶を響介は知りえるはずはありません。
ではなぜあの思い出を知ることが出来たのか。

プレイヤーは各キャラクターの思い出を覗き見ることができました。そしてその情報はクロノス世界に記憶され、凛が響介に、『皆の、二階堂との思い出』を教えてあげたのです。

プレイヤーが観測した情報を、クロノス世界は記憶している。つまり、
『プレイヤー=クロノス世界』
もしくは
『プレイヤー=(クロノス世界を引き起こした)量子』
という扱いではないかと考えました。

つまり『鏡の破片=プレイヤー』です。
鏡の破片もクロノス世界の一部であるとするならば、=プレイヤーと言って差し支えないでしょう。

さいごに:謎はまだまだある

ここまでいろいろとオタクの妄想全開で考察してきましたが、全然わからないとこもあります。

  • 響介の夢に出てきた、「ゆるさない」「みつけて」は誰が書いたものなのか
  • ロウの不審な行動(蔭山を刺したり、二階堂や神谷に接触したり怪しい行動は何のため……?等々)
  • おまけの写真撮影の『???』の場所

大体、こういうことなのかなーと予想はしているものもありますが、根拠も確証もないので保留しときます。
まぁこの記事内でも仮説をいくつも出したりして、下手の鉄砲数撃ちゃ当たる的な考えで自分の意見を垂れ流しました。妄想バリバリの考察で申し訳なかったと思いますが、ここまで読んでいただいてありがとうございました。

私自身、初の考察記事を書いたのですが、書いてる途中で思考がごっちゃになって東京クロノスもう一度頭からプレイしたり、下書きを何度も読み直して推敲したりして、だいぶ時間がかかってしまいました。こんなに文字書いたのも初めてです。

大変でしたがここまで書き上げられてよかったと思います。ゲームも素敵なVR体験でしたし、自分が考察記事を書こうなんて思うとは思っていませんでしたが、それを変えてくれたのがこのゲームでした。

『クロノスシリーズ』続編も出ますし、VRの可能性もまだまだ楽しんでいきたいと思います。改めて、読んでいただきありがとうございました。