おすシローの日記

ノベルゲームとかアドベンチャーゲームとか色々。

steam版『グノーシア』プレイしました

前々から気になっていたゲーム『グノーシア』をプレイしました。というかクリアしました。宇宙を舞台にした、完全一人用の人狼ゲームです。

ざっくりあらすじ

プレイヤーは宇宙船で目を覚ました。起こしてくれた女性『セツ』に話を聞くと、どうやら宇宙船の中に人間に擬態した『グノーシア』という未知の生命体が紛れ込んでいるという。
グノーシアは人間を襲い消滅させてしまうため、解決策として、乗員に擬態したグノーシアを見つけ出しコールドスリープして活動停止しなければならない。
船内のグノーシアを全てコールドスリープさせるか、生存者の過半数がグノーシアとなった場合にゲームが終了する。しかし、プレイヤーは終了条件を満たしても、グノーシア反応が検出された初日の朝にループしてしまう。ループを繰り返すことによってさまざまな情報を手に入れ、ループを抜け出すカギを探し出そう。

というゲームです。

とにかくゲーム内容が面白いので事前知識入れる前にプレイしてほしい。この続き読まなくていいので今すぐプレイしてほしい。

ゲームの特徴

人狼ゲームといえば複数人でプレイする広く知られたパーティーゲームですが、「一人用ってどういう事…?面白いの?」と不安になるかもしれません。大丈夫です。面白いです。
人狼ゲームおなじみの役職もあるし、プレイヤーのステータスを上げられるというこのゲームならではの要素もあり、人狼ゲームとしての面白さは充分であるとお勧めできます。むしろ人狼ゲームの立ち回りを覚えるという点ではかなりいい練習になるんじゃないかなと思います。まあ覚えたところで一緒にやる友達がいないんですけどね……。

◦議論の進めやすさを助けるステータス

ループを繰り返すにつれ、プレイヤーに経験値が溜まっていきます。経験値を割り振ってレベルアップすることで議論を進めやすくなります。直感のレベルを上げたら相手が嘘をついてるのがわかったり、カリスマを上げるとみんなが共感してくれやすくなります。ストーリーが進むにつれて相手も成長していくのでレベル上げ大事ですね。

◦キャラクター(NPC)の性格を覚えると攻略が楽

このゲームでは主人公のほかに最大14人(人間かどうか怪しいのもいますが)のキャラが存在します。ループごとにランダムで参加キャラが変わり、役職も変わります。
誰もが乗員の可能性もあるしグノーシアの可能性もあります。
ゲーム内でイベントが発生するとキャラの情報を取得できるのですが、皆キャラが濃い。そしてキャラごとにステータスもある程度決まっていて、ループを進めるごとに、
そのキャラへの理解度も深まっていくので、「こいつ今回怪しいな」とか「こいつは嘘ついてなさそうだな」とある程度予測しやすくなります。実際の人狼ゲームでもありますよね。
「とりあえず初日はこいつ怪しいから吊っとくか」って初日に吊られやすい人がいたり「こいつ嘘つくのへったくそだなぁ」とか…。何度もループを繰り返すうちに、気心の知れた仲間のような感情もわいてきます。
信じて裏切られたときは、めっちゃ腹立ちますけどね。
私の推しはSQちゃんです。(よくゲームタイトルのサムネにいる子)すぐに信頼関係を結ぼうとしたり愛嬌があるから吊られにくかったり生存力が高いです。
嘘も得意なのでもしグノーシアだったらめっちゃ厄介です。でもそんなところが好き。
あとグノーシアだとリザルト画面の顔グラ変わるんですけどSQちゃんの表情好きなんですよねぇ。ステラはもうちょっと可愛い顔してくれ……怖すぎてトラウマなりそう……。

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SQ(グノーシア公式サイトより)
・ゲーム性がシンプル

『一人用人狼ゲーム』の名の通り、めちゃくちゃ一人で人狼します。議論⇒自由時間⇒夜時間の繰り返しなので複雑な操作とかは何も必要ないです。
キャラの生存状況や協力関係等のフラグを満たせばイベントが起きますが、それ以外はただひたすら一人人狼の周回タイムです。
この周回がつらくもありますが面白い所で、フラグ成立の為に試行錯誤するのが楽しいです。
生かしたい人が初手でバレバレのウソをつくせいで即吊られたり、議論で目立ちすぎてグノーシアに襲われたり等…思うようにいかないところを、ステータスを上げて議論でカバーするのが腕の見せ所ですね。お前のことやぞしげみち。

感想

ほとんど自力で頑張った結果総プレイ時間は31時間ほどでした。1回のゲームが短く、短い時間でも何度か周回できるので空いた時間にちまちまプレイするのもいいんじゃないかなと思います。
文章主体のADVゲームは総プレイ時間を書くとそれだけでネタバレになるかな…?と思うので書かないようにしていますが、このゲームに関しては無駄なループ時間も含んでいるのでまあ大丈夫でしょう。一応ループ回数は隠しときます。スムーズに行ければもっと短いと思います。最短で何ループでクリアまで行けるのか気になりますね。

私はsteam版を購入しましたが、個人的には携帯モードでできるswitch版を買っておけばよかったなぁと感じました。周回タイムは基本的にポチポチ選択するだけの人狼ゲームなのでベッドでゴロゴロしながらやりたいなぁと感じながら周回していました。steamの携帯端末がもうじき発売するらしいので早く欲しいですね。
このゲームは最初PSVitaの配信限定で販売されてからswitch版、steam版と続々展開されてきました。色々なプラットフォームで発売されるってことはその分、評価が高いことの裏付けでもあると思います。私個人としても購入して後悔のないゲームでしたので、多くの人に是非プレイしてほしいですね。

人狼をテーマにしたゲームだと『レイジングループ』が浮かびますが、あちらはストーリー重視、こちらは本当に人狼ゲーム重視という感じで全く違う方向性で面白かったです。この辺の違いをまた別記事で掘り下げてみたいですね。

それでは。

死ぬ運命を覆すデスゲーム『Fatal Twelve』感想・レビュー

↓公式HP↓
FATAL TWELVE(フェイタルトゥエルブ)- 公式WEBサイト (fatal12.com)

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Fatal Twelve ロゴ

前書き

久しぶりの投稿になりました。
最近はそもそもADVゲームをプレイしていなかったのでブログを書こうという気も起きなかったわけですが、じっくりビジュアルノベルゲームしたいなということで買ったこのゲーム。

私はADVゲーム探す時は大体『steam ADV おすすめ』みたいに単純に検索して、あらすじで面白そうだなって思ったらほかの一切の情報を入れないで買うタイプです。
プレイしてから数時間経って、「このゲーム合わないな―」と思う事もままありますが、それも含めてゲームは楽しいです。
先に行っておくと、このゲーム最高でした。気になってる方はこの記事読まなくてもいいので是非プレイしてください。

あらすじ

喫茶ライオン館のマスター代理を務める女子高生・獅子舞凛火は後輩・日辻直未との帰宅途中、突然、電車内で爆発に巻き込まれる。
直未をかばった凛火は、虚しくも命の終わりを迎えた。
だが、気付けば凛火の死はなかったかのように、いつもと変わらず喫茶店で直未たちと談笑をしていた。

数日後、凛火は夢の世界で女神・パルカと出会う。
一度迎えた死の運命は改変され、≪女神の選定≫と呼ばれる12人が12週間の間に脱落させ合うという儀式の参加者になっていたことが明らかとなった。
戸惑う凛火たっだが、選定の参加者の中に友人・未島海晴の姿を見つけ……?

必要なのは、現実世界で参加者の「氏名・死因・未練」の情報を集め、相手を「指名」することだった。

凛火自身の死の真相と未練。
彼女に命を捧げると宣言した海晴の動向。
自らが生き残るため、それぞれの手段をとる他の参加者たち。

凛火に訪れるのは、様々な想いとの直面。

そして、いくつもの生と死の果てに待つ凛火の決断とは――?

(公式HPより引用)

簡単にまとめると、一度死んでしまった12人が、死の運命を回避するために相手を脱落させ合うデスゲームです。
勝ち残った者だけが死の運命を回避できます。
相手を脱落させるには「氏名・死因・未練」を集めて「指名」しなければなりません。
……………
この設定の時点でもう面白い!相手も自分自身の未練や死因を悟られたくないから自衛したり、逆に情報網を駆使してこちらの死因を突き止めようと探ってきます。
平凡な女子高生である凛火はどのようにしてこの『選定』に挑むのか……

良かった点

・キャラクターの濃さ

なんだか毎回これ言ってるような気がしますがしょうがないんです。面白いゲームはキャラがものすごく立ってるんです。
12人も参加者がいるとやっぱりみんな個性を持たせて差別化してもらわないとプレイヤー側も覚えきれないんですよね。そのためか、見た目や性格、口調で差別化してるのだと思いますが、個人的には他のゲームより一層濃いキャラ達だな思います。
私はオデットさんが好きです。(褐色碧眼ギザ歯マッチョの人)

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キャラ一覧(公式HPより)

・テンポの良さ

ストーリー展開のテンポはかなりいいです。と言っても、軽すぎるということはなくキャラの背景描写や重要な場面の説明はしっかりしているなぁという印象です。ほどよく緊張と緩和が織り交ぜられていて暗くなり過ぎないのも良かったですね。

・舞台の自由さ

デスゲームでありがちなクローズド・サークルではなく、かなり自由度の高い舞台設定なのでみんなかなり活動的です。個人的にはこれがこのゲームで一番ワクワクした点かもしれません。
脅迫・交渉・協力・裏切り、何でもアリです。展開が読めなさ過ぎて面白かったです。

悪い点、気になる点は特にありませんでした。ほんとに。

最後に

これはノベルゲーム好きには文句なしでオススメできるゲームです。
主人公が女子高生であり、思春期特有の考えや恋愛等の要素も強いため、特に高校生くらいの若い方に勧めたいなと思います。あと、あら^~な要素を含みます。好き。

正月休みをいいことに久しぶりに2日間ぶっ通しでゲームしたので目が疲れました。休憩すらも惜しいと感じるほどに続きが気になるシナリオなのでぜひぜひプレイして欲しいですね。
拙文ですが読んでいただきありがとうございました。

シンプル操作でサクッと遊べるタワーディフェンスゲーム【溶鉄のマルフーシャ】

ゲーム紹介-『溶鉄のマルフーシャ』

steamで面白いゲームないかなーとカチカチ探していたら見つけたこのゲーム『溶鉄のマルフーシャ』の紹介です。ストアページ見て一目ぼれしました。パケ買いってやつです。

↓ストアページ↓

store.steampowered.com
このブログ、いっつもアドベンチャーゲームばかり紹介していましたが今回はタワーディフェンスです。
まあ、こういったゲーム普段しないのでタワーディフェンスという紹介が合ってるのかすらわかりませんが、それプラス若干のシューティング要素も入ってるって感じですかね。

かんたんあらすじ

戦争のため、徴兵されたパン屋の店員・マルフーシャを操って、迫りくる敵からくる日も来る日もお国のために門を守ります。敵の数は日に日に増していくし、国からの税の徴収もだんだんきつくなってくるし、毎日辛い事ばかりです。この戦いに終わりはあるのでしょうか……。

感想・ゲーム内容

先に感想を言うと、グラフィックもゲーム性もストーリーも全部最高でした。

ゲーム内の人物、背景等ほぼすべてドット絵で描かれているのですが、特に女の子の表現力が素晴らしいですね!
私も趣味でドット絵を描くのですが、少ないピクセルで女の子の動きをかわいく見せる絶妙なバランスは見習いたいです。

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ゲームの操作はシンプルで、キーボードのAとDで横移動、マウスカーソルで照準を合わせてクリックで撃つ。アイテムはスペースキー。たったこれだけです。覚えることが少ないというのは良いことですね。

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戦いの前線から抜けてきた機械兵から門を守るだけの簡単なお仕事とはいえ、支給される武器はハンドガンのみです。ひどくない?
戦闘を楽に進めるためには武器を自腹で購入する必要があります。毎日お給料がでるので、お金を貯めて武器を購入したり、仲間を雇ったりすることができます。
武器を強化して、大量の敵を殲滅した時の爽快感がたまらないです。

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ただしだんだん国からの税金徴収が厳しくなります……どうして……。さらに、門が損害を受けすぎると、修理費も取られます。ひどくない?

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ちょっぴりブラックなストーリーも魅力の一つですね。
察しのいい方はお気づきかと思いますが、この国ヤバいです。戦争で人手が足りないからと言って、パン屋の店員を徴兵しなきゃいけない時点でおかしい。ストーリーと言っても丁寧な説明は無いので会話の内容から察していくような感じにはなるのですが、端々の情報を照らし合わせるとこの戦争の実情がわかってきます。

このゲーム、マルチエンディングです。すべてのエンディングを見るためには何度もメインストーリーを周回するわけですが、このゲームはストレスなく周回できました。
というのも、演出がさっと終わるしステージ間のインターバルがものすごく短い。
周回が想定されているからこそ、余計なものを省いてくれているのだと思います。
サクッとストレスなく全エンディング見るまで遊べたので、こういう配慮は助かりますね。

ちなみにメインストーリーとは別に、ただただ敵から門を守り続けるチャレンジモードがあるのですが、そっちにハマると時間が溶けます。このモードは武器運・仲間運にかなり左右されますが、ストーリーモードの比じゃないくらいの猛攻が来るので上手く捌き切れるようになると面白いです。

総評:めちゃ面白い

めちゃくちゃ面白いのでおススメです。ぜひ買ってプレイしてみてください!
操作がシンプルだから手軽に遊べるし、本編クリアまでは結構短時間で行けます。
カジュアルに楽しみたい人も、やりこみたい人にもおススメできるゲームです。
最近(と言ってももう1ヵ月前)RTA in japanを見たせいか、なんだかこのゲーム、RTAに向いてるんじゃないかって思ってます。誰か走ってくれ(他力本願)。

 

ということで滅茶苦茶久しぶりの記事投稿でした。
まあ、特にノルマも決めずにのんびり気が向いたら今後も不定期に更新します。

キャラはコミカル、事件はシリアス『AI:ソムニウム ファイル』

今年のsteamサマーセールでアドベンチャーゲームをいくつか購入したものの、プレイする時間がなくて今まで積みゲーと化していました。そこで年末年始の休暇中に何とか消化できないかと考えて色々プレイしています。夏に買って冬に消化ってどうなんだろう……ウィンターセールも来てるし夏に一気に買ったのは失敗だったかな……。
というところでプレイしたゲームのレビューと紹介をしていきます。

『AI:ソムニウム ファイル』クリアしました。プレイ時間は24時間ほどで一気に読み切るのは少し大変というくらいの文章量。内容についてはいろいろと思うところはあるのですがネタバレにならない程度に踏み込んで紹介していきます。

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AIソムニウムファイル メインビジュアル(公式サイトより)




【ざっくりあらすじ】

主人公は警視庁特殊捜査部隊ABISに所属する警察官、伊達鍵(だてかなめ)。ABISでは捜査の一環として対象者の夢を覗き見るPsync(シンク)を行っており伊達はPsyncerとして夢の中に入ることができる。
ある時、閉鎖された遊園地で左の眼球が抜き取られた死体が発見された。伊達は聞き込みしたりPsyncで関係者の夢の中を覗いたりして犯人の情報を集めていく。AIが搭載された義眼のアイボゥと共に犯人捜索に奔走するが果たして犯人にはたどり着けるのか……。

以上あらすじ終わり。

【ゲームシステムと良かった点といまいちな点】

ゲームシステムとしては、マルチエンディング形式のミステリーアドベンチャーゲームです。対象者の夢の中に入って操作するソムニウムパートの選択によってその後の展開が変わっていきます。

まずは良かった点から

・人の夢を見ることができる『Psync』という発想。夢の中だからどんな行動をすれば先に進められるのか分からなかったり、物理法則がめちゃくちゃだったりと不思議な世界を歩き回る感覚は面白いです。制限時間が設けられているのでロジカルに攻略していかないと時間が足りなくなるのも緊張感があっていいですね。

・シリアスな物語だけどコミカルなキャラで緩和されているように思います。各所にネタやパロディが釣り場められており捜査パートが楽しいです。辛い展開になったとしてもプレイしてる側まで気分が沈んでしまうような雰囲気にはなりませんでした。

・ストーリーが面白いです。ネタバレなしなので深くは言えませんが進めるたびに新しい気づきが生まれて、”伏線を回収する”というよりも”プレイヤーに気づかせていく”ような仕掛けは鮮やかです。

・みずきちゃんとあせとんちゃんかわいい。

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沖浦みずき(公式サイトより)

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あせとんこと左岸イリス(公式サイトより)

次にいまいちな点……といっても良い点と紙一重な部分です。

・コミカルすぎて食傷気味になることもしばしば……。シリアス展開にもパロディやボケをかましてくるので合わない方はいるかもしれません。さすがに銃撃戦してるときにエロ本自販機を爆破する展開はどうかと思います。(バカバカしすぎて笑いましたが)緊張感は本当にないです。

【まとめ】

ストーリーは面白いです。キャラの掛け合いもコミカルで楽しいです。似たような路線でいえば逆転裁判シリーズやダンガンロンパが好きな方はノリが合うかと思います。逆に、もっとお堅いストーリーが好きな方は合わないかもしれません。期待していたほどの近未来要素もなかったのでなんだかなぁという感じ。

私個人の評価としては5点満点中の3点といったところです。凡。

以上、『AI:ソムニウム ファイル』レビューと紹介でした。ここまで読んでいただきありがとうございました。

人狼×和ホラー×ADVゲームの融合『レイジングループ』

アドベンチャーゲームのシナリオに人狼要素を組み込んだゲーム『レイジングループ』。個人的に今までプレイしてきたテキストアドベンチャーゲームで1,2を争う最高傑作だと思います。

今回は、あらゆるサイトのレビューでも最高評価を受ける『レイジングループ』の魅力を未プレイの方向けに紹介していきます。

 

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左:(主人公)房石陽明、中:芹沢千枝実、右:回末李花子(公式サイトより)

【ざっくりあらすじ】

一人旅をしていた主人公・房石陽明(ふさいしはるあき)は真夜中の山道をツーリング中に事故してしまいバイクが故障してしまう。山中で出会った若い女性・千枝実に招かれて休水という集落にたどり着き、遭難の危機は免れる。翌日バイクを修理して去ろうとしたところ、濃霧が発生して出られなくなってしまう。その夜、陽明は獣の影に殺されてしまう。

気がつくと、陽明は再び山中で迷っていた。何故か前日の夜まで時間が戻っているようだ。再び集落へ向かい、またも濃霧が発生するが陽明は死の記憶を思い出し、その夜を生き延びた。夜が明けて、陽明が集落の住人達に尋ねると休水の言い伝えを教えてくれた。「『おおかみ』が復活した。『おおかみ』は神の使いで、休水の住人を殺して入れ替わっている。住人になりすました『おおかみ』を見つけ出し、くくらねばならない。」と……。

 

人狼?ホラー?アドベンチャー?ループ?】

舞台は、住人も数えるほどしかいない山奥の小さな集落。しかも特殊な風習や信仰のある不気味な雰囲気。地域に根付いた風習として人狼を溶け込ませている点がストーリーへの没入感を引き立てせています。

少し脱線しますが、いわゆるデスゲームもののパターンとして、学校や無人島に閉じ込められて少年少女が殺し合う、みたいなゲームや小説が溢れかえっています。(『ダンガンロンパ』や『極限脱出シリーズ』からアドベンチャーゲームにハマり始めたので大好きなジャンルなのですが……)
やはり似たようなコンセプトの物を読むと「はいはいこのパターンね」と先の展開を予想してしまい、一歩引いたところから物語を眺めてしまうようになります。

その点このゲームは、山奥の集落の風俗習慣としての人狼ゲームを物語に組み込み、オカルト要素や都市伝説な背景を持たせているため、デスゲーム物を読み飽きてしまった人でも、これまでにない新しい展開が楽しめるゲームだと思います。

また、人狼ゲームの要素もふんだんに盛り込まれており、騎士、占い師、霊媒師などの役職も名前を変えて登場します。人狼のルールを学ぶ機会にもなりますし、セオリーを知っていればさらに楽しめると思います。

あらすじにもある通り、この作品はループ物です。(公式サイトのあらすじにも書いてあるしネタバレには当たらないでしょう……。多分……。)作中では「死に戻り」と呼ばれていますが、このループが人狼ゲームでどのような展開をもたらすのか、そこにも注目です。

和ホラー、人狼、ループ……ここまで挙げた要素を非常に高いレベルで練り上げられたゲームがこの『レイジングループ』です。

あと、キャラデザは割と地味ではありますが、あまり派手過ぎると本編のおどろおどろしい雰囲気が台無しになってしまうのでむしろぱっと見で田舎者とわかりやすいデザインがしっくりきました。 そのかわり、物語を進めるとかなり個性的な面々だということがわかってくるのでそのギャップもまた面白さの一つだと思います。

【まとめ】

時間とお金に余裕があるなら今すぐプレイしていただきたいです。私は寝る間も惜しんでプレイしました。総プレイ時間は(私の場合は)およそ30時間ほどだったと思います。スマホアプリでも出ていますが、そちらは無料版で1つのエンディングまで読めるとのことなので、まずは試し読みしてみるのもいいかもしれません。

悲劇、悲劇、悲劇……『ファタモルガーナの館』

 

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ファタモルガーナの館(公式サイトより)

『ファタモルガーナの館』(steam版)クリアしました。

プレイ時間は約24時間と中々のボリュームでした。内容の重さにかなり精神的にやられましたが時間を忘れてプレイしていました。めちゃくちゃ面白かったです。

ネタバレなしの感想を綴っていきますので、購入しようか気になっている方はぜひ読んでいってください。

以下ゲーム紹介とレビューです。

魔女の館と呼ばれる屋敷で目を覚ました主人公が、呪われた館の歴史を体験しながら失われた記憶の痕跡を探すノベルゲームです。

【ざっくりあらすじ】

正体不明の女中に連れられて館の過去の出来事を見て行きます。始めは貴族の亜麻色の髪の兄妹の物語、次は荒れた館に棲み着いた獣の話、その次は産業革命時代のアメリカで成り上がった投資家の話、さらにその次は館に幽閉された青年と館に魔女と呼ばれた少女の話。時代も場所もばらばらですがその全てが悲しい結末を迎えます……。

悲しい物語ばかりで記憶を辿るのがだんだん辛くなっていきますが、それでも記憶を取り戻すためには進むしかありません。悲劇の先に光があることを信じて……。

【感想】

つらい。
幸福から急転直下の展開でどん底にたたきつけられます。なまじ希望を抱いてしまうからその後に待ち受ける絶望に耐えられなくなりそうになります。
登場人物の内面も緻密に描写されており、それぞれのキャラが非常に立っていました。猛烈に感情移入してしまうほどに。
そのおかげか終盤、どうしようもなく辛い展開になってしまっても、どういった結末であれこの物語の最後を見届けたいと強く思うようになりました。
正直その原動力がなければ途中で断念していたかもしれません……。そのくらいヘヴィなストーリーが詰め込まれています。
幸せな瞬間の描写が丁寧であるように、堕ちていく描写もじっくりしっかり描かれています。ジェットコースターで段々と高いところまで上げられて頂点に達したところから急速に下っていくような感覚。しかも下り坂の長いこと長いこと。昏く深い底の見えない絶望の底まで連れて行ってくれます。

あとネリーちゃんかわいい。

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ネリー(公式サイトより)

【まとめ】

ここまでずっと「悲しい、つらい」と言い続けてしまいましたが、本当に面白いです。暗い話は好きじゃない、という方にも是非プレイしてもらいたいです。恋愛ストーリーが好きな方も楽しめると思います。

 

記事を読んでいただきありがとうございました。ノベルゲームのプレイ感想などを主に書いていますのでよろしければ他の記事も見てみてください!

 

探偵と天才少女は絶海の孤島へ『シロナガス島への帰還』紹介

ミステリーアドベンチャー同人ゲーム『シロナガス島への帰還』。

本編とエクストラシナリオまで読了しましたので、レビューも兼ねての紹介記事です。大体プレイ時間はエクストラ含めて20時間程。(途中寝落ちしたので正確な時間が分かりませんすみません)

 

f:id:sushirou_utk:20200927022153j:image(キービジュアル)

 

とりあえずざっくりとあらすじ。

【ニューヨークで探偵を営む主人公『池田戦』と見た物全てを記憶する天才少女『出雲崎ねね子』が、依頼を受けて謎の島『シロナガス島』へ招待される事に。

その島には何やら秘密があるようだが他の招待客は皆口を閉ざしたまま。そして招かれた先の館で殺人事件が起こり、池田とねね子はシロナガス島の呪いに巻き込まれていく……。】

という感じです。

 

f:id:sushirou_utk:20200927022355j:image(シンプルなアドベンチャーゲームです)

 

プレイしてまず感じたのは、驚くほどのクオリティの高さ。

私は同人ゲーム自体が初めてだったので、正直ゲームとしてのクオリティはそんなにだろうと高を括っていました。

が、シナリオもキャラクターもイラストも、市販のノベルゲームと遜色無い出来映えだと感じました。

 

特にシナリオが素晴らしい。

絶海の孤島に探偵と美少女と殺人事件。この時点でもう最高の舞台設定です。たまりません。

また人間の、自分が知らないこと、正体の分からないものが1番怖いという性質をよく理解しておられるようで、

『シロナガス島の悪魔』、監獄のような客室の謎、館に関する黒い噂、不可解な殺人事件。初めに謎が散りばめられて、謎のままストーリーが展開していくから気が抜けなません。

この緊張感がまた面白さを引き立たせてくれます。

f:id:sushirou_utk:20200927113720p:image(シロナガス島の悪魔?)

 

キャラクターも可愛い。女性キャラはかなり力を入れてるようで、おじさん連中とのイラストの気合の差が……。

私はアレックス君が一番好きです(聞いてない)。

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ストーリーは全体的に重めだけど、キャラ同士の掛け合いは軽妙で、まるでラノベのような感覚。

ラノベをよく読む方にはオススメします!ノベルゲームしたことない方でもプレイしやすいと思います。

 

ただしひとつ忠告すると、選択肢を誤るとすぐゲームオーバーになるものもあるのでこまめなセーブはお忘れなきよう……。

また、プレイ実況の配信も許可されていますが、【動画内で作品の購入を勧めること】が条件のようなのでご注意下さい。

f:id:sushirou_utk:20200927111322j:image(実況配信予定の方はご一読下さい)

 

アドベンチャーゲームはストーリーが命なのでそこがわかってしまうと「買わなくてもいいや」という方が多いかと思います。

それでも配信を許可してくれているのはお優しいです……。

 

あと、本編クリア後にプレイできるエクストラシナリオは本編後のバカンスを描いたものですがかなりH。

これが同人ゲームの強みなのか……!ここまでフェチを詰め込んだシナリオがあって良いものか……!と、プレイしながら1人興奮してしまいました(何がどうHだったかは購入してご確認を……)。

 

あとこのブログのタイトルにもあるように私は選択肢によるバッドエンドを見たいが為にノベルゲームをするような節があります。

『シロナガス島への帰還』のバッドエンドはどれも素晴らしいものでした。

本編もそうですがエクストラもかなりの力の入れようで、ゲームオーバーになったときの呆気なさと絶望感が半端ないです。楽しい。

f:id:sushirou_utk:20200927113231p:image(バッドエンドのルートはどれも秀逸です)

 

 

ここまで紹介してきた『シロナガス島の悪魔』。

読み易さ、ストーリーのテンポの良さ、シナリオの充実感、キャラの良さ、全て満足できる完成度の高さです。

是非皆様にもプレイしてみてください!

(※ネタバレ配慮の為、この記事の画像は公式HPおよびPVからのスクショです。)